LEVEL Architects

鵠沼の住宅 12

今日は上棟式です。

「旧家の庭にある
クロマツを持って行きたい。」
御施主さんからの要望があり
まずは朝、旧家のある本鵠沼へ。
クロマツは藤沢市の特に鵠沼一帯で
よく見られる松の一種です。

手前、右手に大きなクロマツが。
「最初はこれを考えていたんですが、
残念ながら、枯れかけているみたいなんです。
それで、こっちを新しい家に連れて行こうかと
思っているところなんですが・・・」

御施主さんについて奥まで行くと
小さくて丸い松が
一本植わっていました。
こんなに小さいのに
幹の曲がり方に松の個性が出ています。
まるで盆栽のよう。

大きさは、130センチくらい。
葉もみどり色でピンと尖っていて
つやつやしています。
とても元気なようです。
「これ、とても良いじゃないですか」
植物に詳しい施工者さんも賛成してくれ、
この小さなクロマツは新しい家の庭に
移植することに決まりました。

現場へ到着すると
屋上のパラペットに例の上棟の飾りが
つけられていました。
この日は風がやや強く
あおられているようでしたが
飾りは見た目よりずっと頼もしく、しっかりとしていて
この建物が棟上げしたことを
皆に知らせてくれていました。

大工の頭領、監督のもと
上棟式をとり行っていただきました。
御施主さんと、そこに住むご家族の方々自身の手で
建物の四隅を清めて行きます。

玄関。
東の方角です。

次はダイニングとテラス。
南の方角にあたります。

こちらは北の方角。
リビングの階段のあたりになります。

上棟式が終わった頃、
ちょうど左官の先生が到着しました。
伝統的な技法をベースに
様々な新しい試みにも挑戦されている方です。

玄関、ダイニング、リビング。
三層の床に対して
天井を一つにしたこの1階に
大黒柱のように立つ壁柱を
仕上げてもらいます。
壁の塗材をモルタル、骨材をレンガ、
技法は掻き落し。
主張はしないけれども
質量から来る存在感を持つ、
土壁の柱を目指すことになりました。

「あれ。最初はグレーっぽい黒が良いかなと思ったけど」

「茶色、良いですね。
土っぽさが出るっていうか。」

中村の一言から
話が盛り上がります。
「でも、リビングのフローリングと
色がぶつかったりしないですか?」
御施主さんも真剣に、返します。
はまり始めていきます。

「屋上から富士山が見たい」
という御施主さんからの要望は、
ひとまず叶えることができました。

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